スキル、特に問題解決やプロジェクト管理などの認知スキルを学ぶことは、宣言的知識(事実、レシピなど)を学ぶことと同じではありません。習得した能力 に応じて評価される形式の分野の基礎を始めるとき、その基本(チェスのルール、ピアノの鍵盤、自転車を動かすためにペダルをこぐという考えなど)を 学びます。時間をかけて、基本の意味、さまざまな状況下での基本の相互関係、基本の組み合わせ方法、結果の解釈方法などを学びます。スキルの向上は、 多くの練習と努力を伴う旅に似ています。専門知識という用語はよく乱用されています。周りの人々と比べて専門的であったり、クラスの中では最も 詳しくても、それは必ずしもあなたが真の専門家であることを意味するわけではありません
「Ericsson and Pool(2016)」(エリクソンとプール)は、スキルと専門知識の向上方法に興味がある人に向いています。エリクソンとプールは、 スキルを学ぶために具体的に何が必要かを説明しています。スキル(スポーツ、音楽など)を真剣に学ぼうとした場合、練習は必ずしも楽しいものでは なく、指導と支援を行う人が必要であること、ゆっくりと体系的に難易度や挑戦レベルを上げる必要があることは知っているでしょう。演奏会や実際の対戦相手 とのゲーム、現実にある問題などを解決することは楽しいかもしれませんが、そこに辿り着くまでの道のりは楽しいとは限りません。
失敗することを学ぶこと、失敗を受け入れること、失敗から学ぶこと、そしてある程度失敗することを楽しむことなど、失敗は学習の鍵となります。 あなたは大きな失敗をするでしょう。失敗することに慣れなければなりません。起きあがり、失敗から立ち直り、そして再挑戦します。もちろん、 同じ間違いを繰り返し行うことは避けましょう。どこが間違っているのかを突き止め、調整して、再試行します。スキルの向上にはこの姿勢が必要です。 あなたがするすべてのことに対して賞賛を受け、すべてが素晴らしいと言われるならば、あなたは向上しないでしょう。あなたは聞く方法を学ぶ必要があります。 「それは十分ではありません、これがあなたが間違ったことです、もう一度やり直してください。」自分のした失敗で自分がダメな人間だと思わず、 むしろ失敗によりやる気を出さなければなりません。ここが、高度なスキルを持つ者と、平均的または少し上のスキルを持つ者を分ける行動です。
一部の人々は、自己調整して自分で学ぶことができます(メタ認知-自分の認知の認知)。多くの人は、行き詰まって立ち止まったときや何かをする方法を 変える必要があるときに、現状をそのまま伝える人や、指摘してくれる誰かを必要としています。あなたは練習し自分の行動を考えたり実行したりするため の訓練が必要です。単に作業を機械的にこなすだけではいけません。スキルを習得するための手順や構成要素を意識する必要があります。
長期的な目標が必要になると思います。あなたは自分で目標のレベルを設定することができます。ほかの人が同じことを出来たら、自分はそのことに対して お金を払ってもいいと思えるくらいのスキル習得を目指し、目標としてはいかがでしょうか。ちなみに短期的な目標は、「前回より良い結果となればよし」とします。
ほとんどのスキルでは、専門家は初心者とは異なる考え方や行動をします。スキルの向上も行いつつ、違いが何であるかを自分で調べてもいいでしょう。 または、スキルの基礎となる部分を探し、最初に意識的にそれらに取り組むのもよいです。基礎はしっかりとやりましょう。頑張りすぎると、やる気を なくし、滅入ってしまう可能性があります。初心者から中級者、上級者、コンサルタント、専門家へと進むのにはそれ相応の時間がかかります。 通常、専門家になるには約10,000時間の意識的な学習が必要ですが、真の専門家になるには、1時間ごとの内容をかなり濃くする必要があります。 より具体的に言うと、典型的な大学のコースは全部で約150時間であり、チェスや囲碁、ブリッジのようなカードゲーム、または楽器のように それは一夜ではできるようになりません。何年もひたすら繰り返し努力することで身につくようになります。
Ericsson, A., and R. Pool (2016). Peak – Secrets from the new science of expertise, Houghton Mifflin Harcourt Publishing, NY.